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「心理的安全性のつくりかた」を読んだ

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前書き

心理的安全性とはよく聞くが結局一体なんなのか、そしてなぜ必要なのかを理解するために、心理的安全性のつくりかたを読んだ。その中で印象的だったことを書いていく。

石井遼介. 心理的安全性のつくりかた「心理的柔軟性」が困難を乗り越えるチームに変える (Japanese Edition) (p.231). Kindle 版. より。

印象に残った言葉

自分自身を問題の中に入れて考えてみましょうということです。つい私たちは、いろいろなことを思考し、またそれにとらわれてしまいます。「あの声の大きい先輩が、ウチの職場に心理的安全性をもたらす上で障害だ」とか、「この新人はまだまだスキルが低くて、私は困らされている」とか、自分を問題の外に置いて、他人の中に問題を見つけるのが、人間は得意です。

他責ではなく自責。もし本当に相手が悪くて相手を非難しても、相手の行動に良い影響を与えることはほとんどないとのこと。

組織には昨日までやっていたことを、今日も続けようという慣性の力が働きます

これは意識しないとなー。

自信があるかどうかを論点にするのではありません。準備・練習・対人スキルの習得という具体的な行動をとれるかどうかを論点にするべきなのです。するべき行動がわからない場合は、フィードバックを受けて行動を特定し、一つずつ改善していけばいいでしょう。「自信」をつける方法を模索している人は、意外とこのような練習や訓練に気づいておらず、行っていなかったりするものです

自信という言葉に対して、自信というものは存在せず、いくつかの行動パターンに自信というラベルをつけているというだけと捉えるとのこと。本書の中ではプレゼンが例に挙げられているが、自信のある発表というのは分解すると聴衆とのアイコンタクトや、姿勢の良さ、笑顔など複数の行動により構成される。したがって、自信をつけたいという要求に対しては、自信という抽象的なものではなく、具体的な行動にフォーカスすることが大切。

「なんでも言ってね」は役に立たない

会議などでよくある「なんでも言ってね」というよりも、きっかけを作った方がいい。 具体化した投げかけを行い、「より良い企画にする上でもっとこうした方がいいという改善点や懸念点、リスクを思いつく人はいますか?」「不安な点を教えてください」、「もっと生産性が高まるとか相談しやすくなると感じることはありますか?」など、具体化された問いをすることが推奨されている。私もなんでも言ってくださいよりも、「何か気になる点はありますか?」と聞くことは意識していたが、もっと具体化したほうが良いと反省。

「もし 10 分手が止まったら教えてね。手が止まりましたって言って、声をかけてくれるだけでいいから。そしたら、どこで手が止まっているのか、私が質問するから、一つずつ教えてね」「もし、私が忙しそうにしていて、話しかけづらかったら、手が止まりました、って一行書いてメール送って...

新人や未経験の方に対しての教育方法。これはかなり使えると思った。新人に対してきっかけ(10 分手が止まったら)を与えて行動(声かけ or メール)を促し、見返り(フィードバックと相談してよかったという経験)を与えること。見返りとして疑問の解消などが行われた場合に再び行動、つまり相談する確率が高くなり、1 人で全部解決しようとする新人についても質問しやすい土壌が作れる。

ただフィードバックで気をつけるのは、「なぜこうなった? 、どうして?」という言葉は多くの人にとってネガティブなものであるので、本書では「なぜ」の代わりに「なに」「どこ」を使うことを勧めている。例えば、「なぜこの優先順位なんだ?」と聞く代わりに「なにが大切だと思ってこれを最初に実行しましたか?」という風に。「どこ」の場合は、「どこを改善すると良くなりそうですか?」など、聞き方 1 つでメンバーは自分が責められている感覚を簡単に持つので注意しよう、とのこと。

職場にあるさまざまな「不十分な仕事」の多くは、メンバー一人一人が「言われた通り行動」をとっており、「確かにそうやな行動」になっていないからです

「言われた通り行動」と「確かにそうやな行動」の比較をし、「確かにそうやな行動」を増やすのが大事とのこと。 言われた通り行動とは、その名の通り言われた通りに行動することで、例えばソフトウェア開発の場合は、「月末リリースは絶対」と言われて、その期日を守ろうとすること。 一方、同様の行動でも確かにそうやな行動では、「現在の会社の資金状態はこのような状態で、このままだと業績がこの辺に落ちる予定。このままでは目標を達成できない。しかし、月末にこの機能がリリースされればこのくらいの新規顧客が見込め、目標達成できる可能性が大きく高まるため、この機能は月末にリリースをしたい」みたいに、納得感を与えるような行動。確かにそうやな行動は、みかえりに接触しながら行動できるので、プロセスの修正をしてみようなどと言った心理的柔軟性な態度を生み出すとのこと。why を意識した行動とも言える。

まとめ

今までなんとなく感じていた感情や組織としての難しさが言語化されていると感じ、何度も読み返したい良い本でした。